動画生成AIの進化から、YouTubeで動画をアップロードすることによりマネタイズしている人たちがいます。とはいえ、彼らの主な収入源は広告収益ではなさそうです。
では一体どういう稼ぎ方をしているのか、探っていきましょう。
写真の動画化が人気⁉
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YouTubeでこんなショート動画を見たことはないでしょうか?
祖父の若いころが写っている戦前の白黒写真をカラーにして動画化してみたもの。
アインシュタインなどの昔の偉人の白黒写真が動画化されたもの。
ショート動画でチャンネル次第で結構再生回数が回っているものもあります。
昨年ごろから急に現れだしたこのような動画。
なぜ、増えているのでしょうか。
その答えは生成AIの進化と確立しだしたマネタイズモデルにあります。
https://www.youtube.com/@DreamPicture12/shorts
こちらのチャンネルを見てみてください。
「ドリームピクチャー │ 写真映像化」というチャンネル名で、ショート動画を中心に有名人の写真から一般人の方から送られてきたものまで、さまざまな写真を動画化しているチャンネルです。
チャンネル登録者数は記事執筆時点で1.87万人。最も再生回数の多いショート動画は199万回も再生されています。
とはいえ、38本の動画しか記事執筆時点で上げていません。
写真の動画化に強い関心が寄せられていることが分かります。
というのも、一時期Xなどでもこのような写真の動画化が話題になったこともありました。
当時(といっても昨年ごろの話)は、過去の記憶の生々しい様子を現代によみがえらせる恐れがあることへの危惧などもあり、「美しい記憶は美しい記憶のままに」、「記憶は記憶のまま、薄れゆくままに」という動画化することで引き起こされる複雑な感情に対して戸惑う意見もあったように思います。
それに対して、「写真しか見たことなかったおじいちゃんの動く姿に感動した」とか、「若くして亡くした夫がよみがえって感動した」などのプラス意見も多く見受けられました。
どんどんこうしたチャンネルは増えていて、ほかにも以下のようなチャンネルがあったりします。
https://www.youtube.com/@%E5%86%99%E7%9C%9F%E3%83%A9%E3%83%9C%E6%98%A0%E5%83%8F%E5%B7%A5%E6%88%BF
https://www.youtube.com/@Photo_revive
https://www.youtube.com/@%E6%80%9D%E3%81%B2%E5%87%BA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0/shorts
https://www.youtube.com/@aigeneratedmasterpieces
「📸 写真ラボ映像工房 🎥」、「思い出のアルバム」、「思ひ出フィルム」、「楽しい生成AI動画劇場」など、類似チャンネルは数多く見られます。動画化の緻密さやスキルの点で多少の差はあるものの、動画の作りはたいてい同じと言えます。どこかでスキーム化している人がいるのかもしれません。
広告収益以外のマネタイズは?
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チャンネルをよく見てみると、チャンネル概要欄に自社ホームページを掲載しているチャンネルがいくつかある。それを見てみると、そのチャンネルのもとに一般人からの写真動画化依頼がやってくる仕組みが分かります。
とあるチャンネルのホームページを見ると、写真の動画化をサービスとしてYouTubeとは切り離してビジネスとして行っており、1枚税込980円、2枚で1880円、10枚だと6500円で請け負っていることが分かる。
中にはホームページを持たずにGメールのアドレスだけをチャンネル概要欄等に貼り付けて、個別問い合わせで対応しているアカウントも存在します。
他のサービスだと、1枚税込880円、2枚で1660円、動画編集やカラー化希望などのオプションをつけることで+550円や+220円がかかるようにしているものもあります。
なお、こうしたサービスがYouTubeと相性が良いのは、動画化サービスのオプションには大抵ついているのだが、動画化したものをYouTubeなどのSNSでの公開を許可するオプションを追加すると多少安くなったり、セール価格でSNSでの公開前提のプランだと安く提供されていたりと、動画化サービスを受け付けることによってYouTubeでの広告収益以外の収益源が確保できる以外にも、YouTubeでのネタが増えていくことにもつながるという相乗効果が狙えるのが上手く仕組化しているところです。
中には、特に安くなったりすることはないのだが、SNSでの公開を前提としているプランしかなかったりするものもあり、プランの考え方がことなるものも。
とはいえ、1枚当たりの動画化価格はだいたい1000円弱で各チャンネル価格競争になっている雰囲気もあり、高いものでも10秒の動画化で1500円で、動画化・カラー化スキルの高さによる差別化がとれるかどうかも勝負になってくる。
動画化のクオリティの高さはYouTube動画の再生回数にも影響してくるため、AIツールの選択が重要なポイントになりそうです。
どんなAIツールを使っているのだろうか
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中には使用しているAIツールを公開し、同じような動画の作り方を紹介しているチャンネルもある。
そのチャンネルによれば、2024年9月時点の情報では、使用している動画生成AIは
Runway Gen-3(Gen-2)
Haiper
Pika
PixVerse
となっており、白黒写真をカラー化するのには、
DataChef
PicWish
Canva
YouCam
を利用しているとのことでした。
通常、白黒写真をカラーで動画化するには、【白黒写真→カラー写真化→動画化】という流れをとりますので、白黒写真のカラー化ツールについてまずは見てみたいと思います。
カラー化ツールの比較
DataChef
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https://tech-lagoon.com/imagechef/gray-to-color.html
このツールの魅力はWeb上で無料で階数無制限に使えることと、カラー化した写真は商用利用可であることです。しかも、無料のツールだと良くありがちなウォーターマークがつかないことも利点です。ネットスピードにもよると思いますが、カラー化までの速度も比較的早いのが魅力です。実際にカラー化してみた実例は以下の通りです。
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結構品質も良く、違和感の無い写真に仕上がりましたよね。無料かつ無制限でここまでできるのはなかなかすごいと思います。
PicWish
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https://picwish.com/jp/photo-colorizer
PicWishというツールは、白黒写真のカラー化以外にもいろいろな画像編集機能がセットになったツールです。感覚としてはCanvaに近いものでしょうか。
無料版でも白黒写真をカラー化することはできますが、正方形の画像だと私の場合922ピクセル×922ピクセルで、高画質化するためには追加料金を支払わなければなりません。
ちなみに有料プランは、以下の通りです。
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白黒写真をカラー化したいだけならば、わざわざこのツールを使わなくても良いのかなとは思います。画像の編集がメインでしたいならば、Canvaに課金するか思い切ってPhotoshopに課金して勉強するのもアリだと思います。
ちなみに白黒写真を無料版でカラー化した画像は次のようになります。
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カラー化の結果としては、DataChefに比べると全体的にコントラストが抑えめで、背景の星条旗を見てもらうと良く分かるのですが、一部適切にカラー化できていない部分が合ったりします。とはいえ、中心人物のケネディ大統領とマクナマラ国防長官は良い感じにカラー化できていると思います。
Canva
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手軽に使える画像編集ソフトとして結構定番になってきたCanvaでも白黒写真のカラー化が可能です。
Canvaに画像をアップロードした後、画像を選択した状態で「編集」タブをクリック。「アプリ」の中にある「Colorize」でカラー化することができます。
ではちょっとカラー化してみたものを見てみましょう。
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なんと全くカラー化できませんでした。何度やっても同じような画像しか生成されませんでした。
もしやり方が間違っているなどのご指摘があればぜひ教えてください。
おそらく間違っていないはず。。。
白黒写真のカラー化をしていきたい人はひょっとするとCanvaを当てにはしないほうが良いかもしれません。
YouCam
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https://yce.perfectcorp.com/ja
このツールもCanvaのマジックツールのような機能がたくさんついているツールになります。
白黒写真のカラー化以外にも背景除去や、背景の透明化、テキストから画像生成ができる機能など、生成AIを応用した様々な機能がセットになっています。
こちらも有料プランが用意されており、以下のような価格設定になっています。
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こちらのツールもアプリをダウンロードして使うことができるようですが、Web上でも無料でカラー化を試すことができるので実際にやってみました。結果が以下の通りです。
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こちらのツールは無料版で試したところ、カラー化するところまではいけましたが、カラー化した画像をダウンロードするには2クレジットが必要でした。なので、とりあえずウォーターマークが入っているものをスクリーンショットして持ってきました。
こちらのツールはなかなか良い精度でカラー化できていると思います。とはいえ、背景の星条旗のストライプ部分が青と赤色でムラが出ているのが分かる通り、ギリDataChefよりも精度が落ちるかなといったところです。本来は赤色のストライプに結構青色の要素が入っちゃってますしね。
ということで、白黒写真のカラー化という機能では、なんだかんだ完全無料で使えるDataChefが一番精度が良いという結果になりました。
DataChefさえ使えたら、あとは動画生成AIで動画化するだけなので、簡単に白黒写真のカラー動画を作り出すことができてしまいます。
動画生成AIは無料版だけではなかなか苦しいところがあると思うので、課金して使うことになると思います。
どの動画生成AIを使えばよいかはまた後日検証できればと思います。
今回の記事はこれで以上です。