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ChatGPTのメモリ機能をどう使うか

本記事は『【5年更新型コンテンツ】AIを最大活用するためのリテラシー強化バイブル』という当社作成コンテンツの中にある1記事を一部改変して掲載しているものです。
THE AI TIMEの一般向け記事だけでなく、『リテラシー強化バイブル』では、より実践的でChatGPTをはじめとするAIのスキルを網羅的に学習できるコンテンツとなっておりますので、AIスキル向上でどうアプローチすればよいか迷っている方はぜひご購入ください。おすすめします。

2月に発表されたメモリ機能

Memory and new controls for ChatGPT

2月の発表では、メモリ機能の概要が説明されていた。ただし、このページに記載されている内容と、現在実装されているメモリ機能が完全に一致しているわけではない点もある。これは、テスト中に変更が加えられたのかもしれない。

以下に発表内容を整理する。

💡 2月発表におけるメモリ機能の概要

  • メモリのオンオフ機能・・・メモリ機能はいつでもオフにすることができ、オフにするとメモリの作成や使用が停止する([設定] > [個人設定] > [メモリ])。
  • メモリの管理と削除・・・メモリの内容を表示、削除することが可能で、特定のメモリやすべてのメモリをクリアする設定もある(設定 > 個人設定 > メモリの管理)。
  • メモリの永続性・・・チャットを削除してもメモリは消去されず、メモリ自体を削除する必要がある。ChatGPTの記憶は特定の会話にリンクされず進化する。
  • データ利用・・・提供されたコンテンツはモデル改善のために使用されるが、ユーザーの設定によってこれをオフにする選択も可能。
  • 一時チャット機能・・・一時チャットは履歴に表示されず、メモリの使用もなく、モデルのトレーニングにも使用されない。
  • プライバシーとセキュリティ・・・記憶に関してはプライバシーと安全性を重視し、ChatGPTは要求されない限り機密情報を積極的に記憶しない。
  • EnterpriseとTeamユーザーのメモリ利用・・・仕事での使用においてメモリが役立つことがあり、スタイルや好みを学習して時間節約と洞察力の向上に寄与する。
  • 機能の例示
    • ブログ投稿でのユーザーのトーン、声、形式の設定の記憶。
    • コーディング時のプログラミング言語とフレームワークの記憶。
    • 月次ビジネスレビューでの好みに合わせたグラフの作成。
  • 組織データの管理・・・企業はモデルのトレーニングから情報を除外する制御が可能で、Enterpriseアカウント所有者はいつでもメモリをオフにできる。 </aside>

さて、このメモリ機能はチャットを続けていくうちに、自動的にユーザーのパーソナルな情報や嗜好、文体を記憶してくれるというものではない。

2月発表の中には、以下のように書かれている。

ChatGPT とチャットするときに、特定のことを記憶するように依頼したり、ChatGPT 自体に詳細を取得させたりすることができます。 ChatGPT のメモリは使用すればするほど向上し、時間の経過とともに改善に気づき始めるでしょう。例えば:

  • あなたは、会議メモの見出し、箇条書き、アクション項目を下部にまとめたものを好むと説明しました。 ChatGPT はこれを覚えていて、会議をこのように要約します。
  • あなたは ChatGPT に、近所のコーヒーショップを経営していると伝えました。新しい場所を祝うソーシャル投稿のメッセージングをブレインストーミングするとき、ChatGPT はどこから始めればよいかを知っています。
  • あなたには幼児がいて、彼女はクラゲが大好きだと言いました。 ChatGPT に誕生日カードの作成を手伝ってもらうと、パーティー ハットをかぶったクラゲが提案されます。
  • 25 人の生徒を抱える幼稚園の教師として、あなたはフォローアップ アクティビティ付きの 50 分のレッスンを好みます。 ChatGPT は、授業計画の作成を支援するときにこれを記憶します。
https://openai.com/index/memory-and-new-controls-for-chatgpt/

この説明を見ると、まるでチャットを続けている中で、自動的に情報を記憶してくれるものだと勘違いしてしまいそうだが、実際には異なるようである。

2月ごろに更新されている巷のネット記事では、自動的にチャットの内容を記憶していく、というような解説も見られたが、メモリ機能が実装されてから数日間使用している中では、私のメモリ機能の中身は更新されていない。

ChatGPTに何かを記憶してほしい場合は、プロンプトの中でしっかりと「~~を記憶してください。」と命令する必要があるのだ。

これは、プライバシー等に配慮してのことだと思うが、少々使いどころが分かりにくいと思ってしまう。

なぜならば、カスタム指示やカスタムGPTを使ってしまえば代替できる機能ではあるし、自動的にユーザーの好む文体や出力を記憶してくれるのであれば、パーソナライズされたとても便利な機能だったのになぁと期待はずれな感もあるからだ。

使い方が分かってくれば、その真価が分かるかもしれない。

目次

一時チャット機能

ついに実装されたメモリ機能だが、記憶してほしくない内容についてチャットする場合や、メモリ機能を使わないチャットをしたい時に、この一時チャット機能を使う。

左上の「ChatGPT4」をクリックして、モデル選択の下部にある「Temporary chat」をクリックして有効化することができる。

Continueを押せば一時チャットの開始だ

Continueを押せば一時チャットの開始だ


🧭 一時チャットの機能

  • 履歴に残らない 一時的なチャットは履歴に残りません。安全のため、チャットのコピーを最大30日間保存することがあります。
  • メモリなし ChatGPTは一時チャットにメモリーを作成しません。カスタム指示がある場合は、その指示に従います。
  • モデルトレーニングなし 一時的なチャットは、モデルのトレーニングには使用されません。 </aside>

当然、記憶してほしくない情報を入力する場合も出てくるため、一時チャット機能は有効に使っていきたい。ただ、モデルトレーニングなしの設定もこれまでにもできていたため、メモリ機能が自動的にチャットを記憶してくれるものでなかったら、この存在意義も薄れてしまうのではないか。

カスタム指示・メモリ機能・カスタムGPTとの違い

さて、メモリ機能と、カスタム指示やGPTsとの違いは何なのだろうか。

どちらも一定の指示を記憶したり、出力を制御したりする機能で、GPTsはカスタム指示と違ってカスタマイズ性が高く、第三者に公開することもできる点で、ビジネスや娯楽の面でも利用者が多い機能となっている。


  1. カスタム指示:
    • ユーザーが特定のタスクや出力形式を求めた際に、その指示に応じてカスタマイズされた回答を生成します。例えば、文章のスタイルの指定、特定の情報の提供方法の指定、特定のフォーマットでの回答などが含まれます。
    • これは一時的な指示であり、その指示は通常、そのセッション内でのみ有効で、次のセッションへの持続はありません。
  2. メモリ機能:
    • ユーザーとの対話を通じて得た情報を記憶し、将来の対話で利用する機能です。これにより、ユーザーの好みや過去のインタラクションに基づいてカスタマイズされた体験を提供します。
    • 記憶された情報はセッションを超えて保持され、必要に応じて削除することができます。
  3. カスタムGPT:
    • 特定の分野やドメインに特化して訓練されたモデルです。この訓練により、特定のテーマや業界に関連する高度な知識や専門性を持つことができます。
    • 一般的なGPTと比較して、特定の分野での精度が高くなりますが、他の多様なトピックに対する対応力は限定的かもしれません。

カスタム指示はその場限りの特定の要求に応じて反応をカスタマイズするのに対し、メモリ機能はユーザーとの長期的な関係を構築し、カスタムGPTは特定の知識やスキルに特化した機能を提供します。それぞれが異なるシナリオで有効なカスタマイズ方法となるとのことである。

GPTsの機能については、こはくの『GPTs即作マニュアル』に解説を譲るとして、メモリ機能の使い方をなんとか開拓していきたい。

今後どんどん機能が拡大されていくChatGPTだろうから、早めに各機能をハックしておくことがAIの進化に追いつくコツでもあるからだ。

どうメモリ機能を使う?

これらの違いを意識したうえで、どうメモリ機能を使っていけばいいだろうか。

SNS上でメモリ機能についての使い方を模索している人はすでにたくさんいるようで、様々な使い方が紹介されている。

たとえば、ユーザーである自分自身の個人情報を覚えさせておくというもの。誕生日や名前、趣味や好きなもの、嫌いなものなど、あらかじめ覚えさせておくことで、料理のレシピを聞いたり、旅行計画を立てる際など、個人の話題についてAIと議論を深める場合などには有効そうである。プロンプト内で自分のことをいちいち伝えなくても良いという点で、少々手間が省けそうだ。

その他には、GPTsを作成するときと同様に、出力の方法を記憶させるというもの。これは、ユーザーがあらかじめ記憶させておいたプロンプトに応じて、出力の形式を定めるもので、例えば「箇条書きにして」と指示すると、<・(中黒)○○(項目名):(ダブルコロン)~~(説明)>などのように、箇条書きの形式をあらかじめ記憶させておけば、その都度指示しなくても良いよね、という使い方である。確かにこの使い方であれば、普段業務やクリエイティブ作業で繰り返し用いる形式があれば、いちいちチャットごとに指定しなくても良いので楽ではある。英語のPDFファイルをアップロードしてその内容について問う時、たまに英語で回答が返ってくることがあるが、「私の母語は日本語です。出力も日本語でお願いします。」と記憶させておけば、不意の英語出力も減るかもしれない。

ただ、ChatGPTの振る舞いを指定するいわゆるキャラ設定については、うまく機能する場合とそうでない場合があるようだ。つまり、ツンデレな回答をどのチャットでも機能するようにメモリに設定しておいても、フォーマルな回答が返ってきて急に現実に引き戻されてしまう場合もあるようだ。ただ、これぞ本当のツンデレだとも思うのだが。

ちなみに、なんでも記憶してくれるのか、といえば当然そうではないことに留意してもらいたい。

極めて個人的な情報、たとえば住所の細部やマイナンバーなどは頼んでも記憶してくれない。

外国語学習に使えるかも?

もちろん、趣味や興味を記憶させておくことは無理もないが、AIで外国語を習得することはすでに事業として行われているところでもある。そこで、このメモリ機能は外国語学習にChatGPTを用いる上ですごく役に立つのではないかと考えた。

たとえばこのように、英語の能力を英検準2級(高校1年レベル)であると仮定し、英語で出力してもらうときはそのレベルに合わせて記述してもらうことを記憶させてみた。

このように記憶されていることが分かる

さて、プロンプトを打ってみよう。「京都市について英語で教えて」と聞いてみた。

💡 出力
Kyoto, a city in Japan, is known for its rich history and beautiful scenery. It was once the capital of Japan for over a thousand years. Kyoto is famous for its temples, shrubs, and traditional wooden houses. It has over 2,000 religious places, including the famous Kinkaku-ji (the Golden Pavilion) and Kiyomizu-dera. The city is also known for its traditional festivals like the Gion Matsuri, one of Japan’s most famous festivals. Additionally, Kyoto is famous for its unique cuisine and traditional crafts. It’s a city where you can experience the blend of ancient Japanese culture with modern life.

どうだろうか。平易な英文で京都市の概要について教えてくれた。

このようなスキルに関するパーソナルな情報や度合いをメモリ機能に記憶させておくことで、自分のレベルに合った学習や文体として出力してくれるというのは、非常に使いどころがあるのではないだろうか。

受験生や子供の学習にも使いやすくなるだろうし、子供たちがChatGPTで調べものなどをする場合には、とても役に立つと思う。

もちろん、GPTsであらかじめ指定しておくことも方策の一つとして考えられるが、普段からChatGPTを使う中でこうしたやり方は一つ便利になったと思える。

注釈を加えてもらう

ChatGPTの回答は、難しいことを分かりやすくしてもらう際などにも非常に役立つが、それでも専門用語が含まれるものも多い。

そこで、出力の際に毎回専門用語に対する注釈をつけてもらうようにすることで、少しでも回答に対する理解を一度で深められるようにすることが大きく時短に役立つのではないかと考えた。

例えば、「専門用語(一般的に高校生が理解しにくい用語)については、出力の文末に注釈をつけるようにしてください」とプロンプトを打って記憶してもらうことで、必要があるときは末尾に箇条書きで専門用語に関する注釈をつけてくれるようになった。

機能を呼び込む

海外の方が試していた方法。ミッドジャーニーやNotionでは、/(スラッシュ)を使って、特定の機能を実行しますが、それをChatGPTでやってしまおうというもの。

例えば、
/s と打ったら、その後に続く内容を覚えるように記憶させたり、/i と打ってその後にプロンプトを書けば画像生成するように記憶させたり...

カスタマイズの幅をメモリ機能で挙げてしまおうという試みだ。

良く使う機能や出力の方法をこれで覚えさせておけば、プロンプトも短くできるし、よりユーザーに合わせた最適化ができそう。

みなさんはどのようにこのメモリ機能を活用するだろうか。ぜひとも有用な使い方を発見したら、SNS等で発信していろいろと情報を共有していただければと思う。

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