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Claudeの「Citations」機能。出典を渡すと引用して生成

https://www.anthropic.com/news/introducing-citations-apiより

2025年1月23日に発表された「Citations」機能。日本語で言うと「引用」機能ということなのだが、利用方法についてはAPI経由での利用となり、初心者にはなかなか骨の折れる作業となります。
当メディアでも「誰でもできる使い方」なるものを記事に使用と考えてはみたものの、試してみてやっぱり日常で使うような機能ではないなと今のところ判断したため割愛。
今後、機能がアプリに組み込まれたりして使えるようになれば便利なものではあるので、一通りどんな機能なのか紹介しよう。

目次

Citations:ユーザーが出典を提供する

Claudeのこの機能は、何かテキストを生成するときにその根拠となる出典や情報をClaude側が自動的に探査して明示するというのではなく、あらかじめユーザーが「この出典を参考にしてくださいね」と提供したうえでプロンプトに対して応答するというものです。
ですから、企業や教育現場などではカスタマーサービスにおける応答精度の向上や、誤った回答を示すことが無いようにできるというのが魅力なポイント。
また、生成された回答に対して、ユーザーは出典を確認することで、回答の信頼性を評価することができる。
この仕組みによって、ハルシネーション(幻覚)のリスクを抑えやすくなり、使う側としては信頼性の高いAIアシスタントの開発ができるというわけです。
API経由でこの機能は使うことになるため、いまのところ用途としては開発者向けであり、料金体系もトークン課金で従量課金制ですが、回答の中で引用で返されるテキスト自体は出力トークンとしての課金が発生しないため、コスパよく使っていくことができます。
実際にこの機能を活用している事例としては、情報サービス業を展開し、ロイター通信を傘下に置くトムソン・ロイター社が法律領域のAIプラットフォームに実装。AIが回答に参照元のリンクを付けられるようになり、信頼性の向上とリスク低減を実現しました。
また、Endexという企業では金融企業向けの自律型エージェントを提供しており、AnthropicのCitations機能を活用して、情報源の誤認やフォーマットの問題を削減し、複雑な金融リサーチの精度を向上させたといいます。

Citationsの活用例

ドキュメントの要約にも実はこの機能は有効です。たとえば長大な報告書を要約したいと考えたときに、Citationsを活用すれば、要約の各箇所が元のどの文章に対応しているかなどを出典元から紐づけしてくれるので、要約が正確かどうかを照合しやすいというメリットがあります。
また、企業のDX化においてもたとえば膨大な技術資料の中で、ユーザーが質問をしたときに、どの資料をもとに解答したかが明示されるため、曖昧な回答が許されない現場でも信頼して生成AIを使っていくことが可能です。
あとは単にカスタマーサポートにおいても製品マニュアルなどを出典元として提供しておけば、自動でユーザーからの質問に正確な回答を提供してくれるようになるでしょう。これまでの曖昧な回答が多かったチャットサポートに比べて顧客満足度も高いため、一層生成AIの企業導入が進むきっかけになりそうです。

「どこからの情報化を明示することで、従来よりも透明性や説得力が高い」Citationsの機能を活用することで、ほかにも以下のような展開を模索することができそうです。

議事録×生成AI

社内で蓄積された議事録やSlackのログ、メール、タスク管理ツールの履歴などをAIに取り込むことで、例えば「現在のプロジェクトの進捗を最も正確に表しているコメントはどれか」と尋ねることができます。Citations機能をうまく活用することができれば、AIの回答がどの会議や誰の発言に基づいているのかが明確に示されるため、社内で「誰が何を言っていたか」を一目で把握できます。これにより、責任の所在や合意形成の補助となり、特に「誰が言ったか」に注目する必要がある組織では、AIの回答の根拠がはっきり示されることで安心感が増し、導入のハードルを下げることができます。

教科書×生成AI

また、教科書や教材、論文を複数読み込ませてAIにオリジナルの解説書を執筆してもらうことも可能になるでしょう。Citations機能を利用することで、各解説文がどの教科書や論文のどのページから引用しているのかが明確になるため、学習者はさらに深く学ぶことができ、学術的な正確性も担保しやすくなります。これにより、ライターや教育者は要点をまとめた解説書を作成する時間を大幅に短縮し、参考文献リストも自動生成できます。教育現場でのDX化や生成AIの活用に役立つアイデアとして実現できるかもしれません。

SNS分析×生成AI

さらに、Xや口コミサイトの投稿を収集してAIに要約や傾向分析をさせる際、Citations機能を使うことで、どの投稿を根拠にした分析結果なのかを明示できます。例えば、「○○と書いている人が最も多い」といった主張の裏付けとして、具体的にどの投稿群に基づいているのかがはっきりわかります。これにより、「このレビューを根拠に傾向が言われている」と可視化できるため、データ分析の透明性が高まり、大量のSNSデータを扱う企業がユーザー向けにわかりやすい分析レポートを提供する際に、説得力が向上します。ただし、現状ではこうした大規模なデータベースを前提として開発されたものではないため、今すぐに開発できるようなものではないでしょう。とはいえ、こうした役割を担う端緒としてこのCitations機能は希望となるかもしれません。

ファンのリサーチ×生成AI

ゲームや小説などの架空世界の公式資料、ファンブック、WikiなどをAIに取り込むことで、「この設定はどこから確立されたものか」と尋ねることができるようになるかもしれません。Citations機能を活用すれば、「公式ガイドブックのp.52に初出」「制作陣インタビューで発言された内容」といった形で引用されるため、ファンは考察や元ネタ探しがしやすくなります。公式と二次情報が混在しやすいファンコミュニティで、どの情報が公式設定なのかを明示するツールとして有用ですし、YouTube発信者などがネタ探しなどにも使えるプラットフォームができるかもしれません。

過去の自分×生成AI

自身の過去の日記やブログ投稿、SNSなどをデータベース化し、「数年前の自分はどんな目標を立てていたか」「その時の具体的な行動プランは何か」などを質問し、回答を得られるようになるかもしれません。Citationsでは回答がどの過去の投稿を根拠にしているのかリンクを示してくれるため、後から自分でも振り返りやすくなり、自己分析やライフログの活用に使えます。引用元が明示されることで「本当に自分が言っていた内容」かを簡単に確認できるツールができあがるかもしれませんよね。

講義×生成AI

会議やセミナー、学校などで行われたプレゼンテーション・講義の文字起こしをリアルタイムでAIに取り込み、同時に紹介された参考資料や記事URLも連携することで、AIが逐一「この主張は今言及された記事URLの3段落目」「こちらは〇〇さんの発言を引用」といった形で注釈を入れていくことで、参加者の理解度を効果的に高めていくこともできるかもしれません。リアルタイムに正確な議事録やサマリーレポートが生成されると、参加者が後からチェックしやすくなりますし、オンライン参加者との共有も容易になるはずです。

Citationsが狙う大きな可能性

AnthropicのCitations機能は、「AIが回答を生成する時に、根拠となるソースを明示する」という大きな課題をシンプルに解決し、透明性の高いAIアシスタントを作るための画期的な一手となるかもしれません。従来の枠組みではプロンプトエンジニアリングに頼り切っていた部分を、APIの仕組み自体が肩代わりしてくれるため、導入ハードルと開発コストが下がる点も注目です。あとは一般利用がしやすくなるように、開発者が最適なアプリケーションを作成してくれたり、Anthropic社自身がカスタマイズしてくれたらありがたい話ですよね。

上記で紹介したようなアイデアを組み合わせていけば、法務・教育・リサーチ・マーケティング・創作・ファンコミュニティ運営など、さまざまなジャンルで「どこからの情報か」や「誰の発言か」を明確に提示しながら、AIの力で意思決定や情報共有を進めることが可能です。

このような意外とシンプルなアイデアに、生成AIの欠点をカバーするイノベーションがあるのかもしれません。
あとはその可能性を各分野で大きく花を開かせることができれば、企業への生成AIの導入率が高くない日本や教育現場においても効果的に活用できる部分が見つかるかもしれません。

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