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AI時代に読むべき本①

ChatGPTが一般に広く使われるようになって早くも2年がたとうとしている。

このセンセーショナルな技術は一過性のブームに終わることなく、今も進化を続け、あらゆるタスクに対応しようとしているが、その便利さの反面、私たち自身のスキルレベルの向上をないがしろにしていることはないだろうか。

AIツールそれ自体の操作スキルは利用するにつれ上がっていくものだが、上手にAIを操るための私たち自身の素養、つまり人間自身のスキルレベルの向上も忘れてはならない。

分かりやすい例でいうとイラストや絵を描くスキル。画像生成AIの性能は良くなっているが、いまだ人間が作業するほうが細かい修正・レタッチは融通が利くことが多い。自然言語で操るAIツールの特性として、プロンプトの書き方で自分が想像するものと大きく異なる結果が出てしまうことはままあることだ。

とはいえ、画像生成AIも、ブラシで修正したい箇所を選択し、プロンプトを付け加えることで、細かい修正にも対応するようになってきた。AIが生成する画像の雰囲気や独特のスタイルそれ自体にも評価がなされるようにもなってきており、性能の向上でリアルな描写でも“AI臭さ”が薄れてきた面もある。イラストスキルもお役御免となる日も近いかもしれない。

このように、AI技術の向上で、これまで人間が担ってきたスキルが、一般人レベルには不必要になってくるかもしれないということは強く言われてきているところだ。

しかし一方で、AIが進化し続けても当分は必要とされるだろうスキルが一つある。それは、文章を書く技術。作文能力である。

脳にマイクロチップが埋め込まれることがない限り、AIツールを使うためには必ずプロンプトを構築する必要がある。もし、簡単な単語の羅列をテキスト生成AIに入力することにより、上手なプロンプトを出力してくれたとしても、最終的にコンテンツやセールスレターなど、公開する文章を修正するには人間が介入する必要がある。

なぜなら人間の介入なしに、あなた自身のオリジナルは生み出せないからだ。

テキスト生成AIは膨大なテキストデータを学習することによって、新たな文章の組み合わせを作り出している。原理的には与えられた文脈から推論し、それらしい組み合わせで単語をつなぎ合わせているだけであって、AIには感情も倫理も新しい概念を生み出す力は今のところない。

人間は言葉で話すか文章を書くことによってしか、離れたところにいる人に対して、的確で効果的なアウトプットができないと言っても過言ではない。文章を書くことは、SNSでもAIでもあなたを表現する最大の力となる。そこで以下の書籍をオススメしたい。

題して「日本語の作文技術」(本多勝一・朝日文庫)である。1982年に刊行されてから40年以上増版・新版が続けられている名著の一つだ。外国語と比較して「日本語は論理的ではない」という俗説を喝破し、「あらゆる言語は論理的なので合って、『非論理的言語』というようなものは存在しない。言語というものは、いかなる民族のものであろうと、人類の言葉であるかぎり、論理的でなければ基本的に成立できない」というのが筆者の主張である。目次を読むと実に日本語に関して細部まで解説してあることが分かる。章立てだけ見ても以下の通りだ。

第1章 なぜ作文の「技術」か

第2章 修飾する側とされる側

第3章 修飾の順序

第4章 句読点のうちかた

第5章 漢字とカナの心理

第6章 助詞の使い方

第7章 段落

第8章 無神経な文章

第9章 リズムと文体

このような無様な文章でこの本を紹介しているのも気が引けるのだが、読んでみれば別に難しいことを書いているわけではない。よくやりがちな日本語の分かりにくい書き方を、なぜこのように直したほうが良いのか、ということを論理的に説明してあるので、スッと頭に入ってくる。

分かりやすく論理的に書かれた言葉は、相手を説得したり感情を揺さぶる武器として力強いあなたの味方となるはずだ。つまり、本業であっても副業であっても、言葉をあやつることにより売り上げも変われば良き人間関係にも恵まれるのである。 ぜひともこの本を一読し、何かあなたの役に立つところがあれば嬉しいと思う。

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